シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵 シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵

高齢社会総合研究機構
教員・研究員からのリレーメッセージ

高齢社会総合研究機構の医学、工学、社会学、情報学など様々な専門分野の教員・研究員より、「いま、伝えたいこと」をリレーメッセージとして掲載します。

第11回

おうち時間を、お口の健康を見直すきっかけに

永谷美幸 永谷美幸 東京大学 高齢社会総合研究機構 協力研究員/サンスターグループ

新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活様式は大きく制限を受けており、今までのような自由な外出をためらってしまう日々が続いています。外出を控えることにより、暮らしの中の楽しみが減ってしまったと感じられているかもしれませんが、自由な外出ができない今だからこそ、今できることに前向きに取り組むきっかけにしてみてはいかがでしょう。

自粛生活の中でも取り組みやすい健康の取り組みの一つとして、お口の健康があります。むし歯や歯周病で歯を失った、かたい物が食べにくくなった、滑舌が悪くなった、飲み込む際にむせてしまう、などの症状は、お口の機能低下のサインであり、このような状態は「オーラルフレイル」と呼ばれています。オーラルフレイルは、全身の機能の低下の前兆であり、しっかり食べたりしゃべったりできるお口の機能を維持することで、介護状態に陥ってしまうリスクを下げることが最近の研究で分かってきています。お口の機能のチェックもかねて、しっかり「食べる」「しゃべる」ことができているか、少し意識してみてください。

おうちで過ごす時間を使って、お口の機能を高めるためにできることとして、毎食後のオーラルケアが挙げられます。1本1本の歯をていねいに磨くことを意識したハミガキに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスも使ってみてはいかがでしょう。歯と歯の隙間には意外と食べかすや歯垢が残っており、歯間まで清掃するとお口の中がとてもスッキリすることが実感できますよ。マスクが手放せない生活が続く中では口臭対策としても効果的です。また、入れ歯をお使いの方は入れ歯のメンテナンスも忘れずに。日々のお食事を楽しむためにも、毎日のオーラルケアでしっかり噛めるお口を保ちたいですね。

自粛生活が終わり、ご家族やご友人とわいわいおしゃべりやお食事ができるようになった時に、今まで以上に健康で楽しめるよう、お口の健康も少し気にしてもらえたら幸いです。

(2020年5月18日)