シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵 シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵

高齢社会総合研究機構
教員・研究員からのリレーメッセージ

高齢社会総合研究機構の医学、工学、社会学、情報学など様々な専門分野の教員・研究員より、「いま、伝えたいこと」をリレーメッセージとして掲載します。

第4回

“ピンチをチャンスに” 前向きな気持ちになれるように

孫輔卿 孫輔卿 東京大学 高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター 特任講師

全国的に感染者や死亡者の数が落ち着きを見せていながらも、もうひと頑張りを求められている今、すこしずつ出口が見えてきているものの、もとの生活に戻れるかという不安な気持ちも同時にあるかと思います。3月から始まった外出制限の疲れを抱えながらも長期戦を想定した生活の工夫、心構えが今まさに必要ではないでしょうか。

まず、健康をしっかり保つことが大事です。規則正しい生活を心がけ、自宅でできる運動や筋肉をつけて免疫力を上げる食事でフレイルにならないように気を付けましょう。あと、大切なのは前向きな気持ちです。私は研究活動で、ある92歳のおばあちゃんと出会って前向きな気持ちの強さを実感しました。そのおばあちゃんは家で転んで腰の骨を折る重傷で緊急手術・長い入院生活を経て自宅に戻りました。一人暮らしで不安な生活を送っているだろうと思い、自宅を訪ねて生活の変化などを聞きながら、最後に「また転ぶか不安ではないですか」とお聞きしたところ、即答で「全然!」という返事が返ってきました。このような前向きな気持ちはどこから来るのでしょうか。もしかしたら、「一人だからしっかりしないと」と自分に言い聞かせているからかもしれません。頼もしい家族や友人がいるかもしれません。いずれにしても、この前向きな気持ちは、おばあちゃんがまた転んでも一人暮らしができる底力になることを見せつけられた気がしました。

“ピンチをチャンスに”とよくいいます。チャンスを見つけるためには探求心、ワクワク感、楽しさが大事ですし、前向きな気持ちがもっと大事だと思います。新型コロナ感染症の影響で家にいる時間が長く、なかなか前向きな気持ちになれず、孫や友達と会えなくてストレスが溜まる方も多いと思います。家族や友人とのビデオ電話、自粛生活解除後に行きたい店ベスト10、いつもと違う道での買い物、アルバムや年賀状の整理など少しでもワクワクすること、楽しくなることを考えて、やってみませんか。今回、高齢社会総合研究機構では皆さんが少しでも前向きな気持ちになれるように、「健康な暮らしのための工夫(食・口腔と運動)」、「おうち時間を豊かにする工夫」、「小さな幸せや楽しみを探す工夫」の知恵を集めてみました。このような工夫をしてみて、少しでもワクワクした、楽しかったという気持ちになれたら、大変嬉しいです。

(2020年5月10日)