シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵 シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵

高齢社会総合研究機構
教員・研究員からのリレーメッセージ

高齢社会総合研究機構の医学、工学、社会学、情報学など様々な専門分野の教員・研究員より、「いま、伝えたいこと」をリレーメッセージとして掲載します。

第7回

本当は怖い、外出自粛~衰え知らずの自粛生活のポイントは?~

田中友規 田中友規 東京大学 高齢社会総合研究機構 特任研究員

― 「動かない」を放っておくと「動けない」に~フレイル予防をはじめましょう! ―

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症。高齢者や基礎疾患のある方は重症化しやすいため、手洗いや人込みを避けるなどの感染予防が大切です。外出自粛で家に過ごす時間が多くなり、なんとなくテレビを眺めて座っている時間が長くなったり、食事をついつい簡単なもので済ませたり、趣味やお喋りなどの楽しみも限られていませんか?実はこういった「動かないこと」によって、心身が衰え「フレイル」が始まってしまうことが危惧されます。フレイルが進むと、体の回復力や抵抗力が低下し、疲れやすさが改善しにくくなります。また、インフルエンザなどの感染症も重症化しやすい傾向にあります。つまり、「動かない」が「動けない」になっていきます。感染症そのものや外出自粛に負けないために、今こそフレイル予防をはじめてみませんか?

― 知っていますか?「フレイル」 ―

私たちは誰しもが年を重ね、心身の活力が衰えていきます。フレイルとは身体や心の衰えや、社会とのつながりや支援が失われていく状態のことを指します。多くの人が健康な状態からこのフレイルの段階を経て、介護が必要な状態に陥ると考えられています。早め早めにフレイルの兆候に気づき、適切な予防や治療を行うことで、フレイルは改善が見込めますし、介護が必要な期間を短縮できる可能性があります。

― 自粛生活でもできるフレイル予防のポイントは? ―

フレイル予防のポイントは栄養(食と口腔)、運動、社会参加をバランス良く実践することです。特に自粛生活では、次の3つを心掛けましょう。

①動かない時間を少しでも減らしましょう。人混みを避けつつ、日光を浴びながら散歩程度の運動がおすすめです。

②食欲の湧かないこんな時でも、バランスの良い食事を三食欠かさず食べることを意識してください。お口のケアもとても大切です。

③孤独を防ぎましょう。近くにいる方同士や電話を利用した交流を少しでも増やすことを目指しましょう。インターネットを活用した顔の見える交流も毛嫌いしていませんか?以前と比べてとても簡単にできるようになっています。家族や友人にやり方を聞いてみるのも良いかもしれません。自粛フレンズを増やしていきましょう。

― 詳しくは「おうちえ」をご覧ください~自分のため、大切な人のために~ ―

私たち高齢社会総合研究機構はいまお伝えしたい情報を集めたリーフレットを作成いたしました。是非ともご覧いただき、自分自身のためにご活用ください。また是非とも、ご家族やご友人そして地域の仲間たちのために情報を共有してください。それが地域の社会的レジリエンス(回復力)を高めていくはずです。みんなで乗り越えていきましょう。

(2020年5月16日)