シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵 シニアのためのおうち時間を楽しく健康に過ごす知恵

高齢社会総合研究機構
教員・研究員からのリレーメッセージ

高齢社会総合研究機構の医学、工学、社会学、情報学など様々な専門分野の教員・研究員より、「いま、伝えたいこと」をリレーメッセージとして掲載します。

第10回

いまだからこそ、食で楽しく心身を健康に

内山奈美 内山奈美 東京大学 高齢社会総合研究機構 協力研究員/キユーピー株式会社

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、行動が制限されたことで、私たちの日々のくらし、家族や友人とのつながりの持ち方などに、大きな変化がありました。すこしずつ出口が見えてきているものの、感染症はなくならないことから、長期での覚悟が必要です。政府からも「新しい生活様式」が発表されました。このように変化した暮らしが一部定着していく中で、健康に過ごす工夫と日々の楽しみを一緒に見出していきたいですね。

おうち生活がつづく中で、あらためて健康に過ごすための食生活、からだづくりを意識することが多くなりました。健康維持の基本は「栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」です。しかし、栄養、運動、休養は、貯めておくことができません。くらしの中で、自然に行える習慣をつくることが大切です。

栄養については、主食、主菜、副菜を基本に、多様な食品を組み合わせて毎日朝昼晩しっかり食べることが大事になります。特に、フレイルを予防するからだづくりのために、たんぱく質や、からだの調子を整えるビタミン・ミネラルを意識して摂取するとよいでしょう。私自身も、いつもの献立に卵を1個追加したり、牛乳のスープを取り入れたり、いつものサラダに豆やツナ缶を追加したりすることで、たんぱく質を意識してとっています。ビタミン・ミネラルをとるためには、サラダや緑黄色野菜、海藻のメニューなどを増やしました。骨や筋肉を強くするビタミンDについては、食事だけでなく日光浴でも生成することができるので、運動も兼ねて、天気の良い日は家族と近所の散歩をしています。

しかしながら、食は、栄養の摂取・健康的なからだを作る源である一方、日々のくらしの中の楽しみでもあります。とにかく美味しいものを食べたい!というご褒美ごはんの日もありますが、その分、次の食事で野菜をたくさんとる、といった工夫でバランスを考えています。

また、おうち時間を利用して、旬の食材を丁寧に調理して楽しむこともよいでしょう。私は、季節のフルーツでジャムを作ったり、たけのこのあく抜きをしたり、山菜のてんぷらを楽しんだりしました。写真をとって、直接は会えない友人や家族に送ることや、電話で近況を連絡し合うのもいいかもしれません。

このように、ちょっとした工夫で、日々のくらしがより良いものになるように、「おうち時間を楽しく健康にすごす知恵―おうちえ」に、たくさんのアイデアを詰めこんでいます。この「おうちえ」を、みなさまのくらしの中でアレンジして、少しでも楽しく健康に過ごしていただけますと幸いです。

(2020年5月18日)