参加企業

イオン株式会社

お客様のタッチポイントとして多様なフレイル予防サービスを届ける

エリア戦略統括部 地域連携グループ
乾 裕之 氏

イオンモール柏でのフレイルチェックの様子

お客様のタッチポイントとして多様なフレイル予防サービスを届ける

当社は消費のボリュームゾーンである団塊世代の高齢化に対して、どのように事業を展開すべきかを長年にわたって考えてきました。この課題を解決するヒントを得ようとして、2016年に学会で飯島先生の講演を聴き、フレイルとIOGについて知ったのが共同研究のきっかけです。講演の内容に共感した私はフレイル予防の事業化を社内に提案して、IOGに出向することになりました。IOGとの共同研究により、当社の「小売業は地域産業」という理念に基づく「地域エコシステム」の実現を加速できると考えたのです。
フレイル予防の啓発活動には、行政を含めた産官学の連携が重要です。2019年に柏市で実施した官民協働のフレイルチェックに連動したメーカー販促イベントでは、市民サポーターからの協力も得られたことから大きな成果に繋がりました。いまコロナの影響により予定していた店舗での実証実験が行えない状況にありますが、落ち着いてインプットする時間をとり、今後の活動について考えられたことをポジティブにとらえています。

ベクトルの違うアカデミアの思考や発想は刺激的

共同研究の過程では、企業とはベクトルが異なるアカデミズムの思考や発想に刺激を受けました。店舗ではスピードを重視して暫定的に案件を進めることもあるのに対して、IOGでは納得するまで議論を尽くして目的を共有し、メンバーが動く体制を作るプロセスに時間をかけます。小売業の現場は今日の1円をどう売るかを考えがちですが、共同研究では社会課題の解決にゴールを設定し、バックキャストでいま何をすべきかを考えるのです。
さらに、行政や他の企業との関係を深められたのも大きな収穫です。行政を巻き込んで多くの人や組織を動かすには確固たる根拠が必要になるため、当社だけでは不可能でしょう。企業間でアライアンスを組む場合でも、通常は双方の利害があるためフランクな関係にはなりません。しかし、共同研究ではIOGが触媒としての役目を果たし、目的意識を共有してスムーズに連携できます。
共同研究に参加するまで、アカデミズムの世界は権威主義的なイメージがありましたが、IOGではそんなことは感じません。学問の領域を超えた分野横断型の研究を行っているため、ダイバーシティを尊重する風土があります。各分野の第一人者と話して、自由闊達に意見を交えることがでるのは、得難い経験です。
そうした環境の中で目指すゴールは、店舗に来店するお客様にキャンペーンやイベントを通じてフレイルをメタボと同様に理解してもらうことです。高齢者の方々がフレイル予防を意識しながら買い物を楽しめる店舗を作り、誰もが明るく生きられる社会を実現したいと考えています。

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