研究

疲労感に着目した高齢女性の フレイル早期検知の指標と予防策の開発

プロジェクト概要

プロジェクト代表者

孫輔卿

研究概要

日本は平均寿命も健康寿命も世界トップクラスだが、その差である要介護期間も男性 9 年、女性 12 年と長い。特に、女性では要介護期間が長いことが社会的に大きな問題であり、諸外国も
同様の課題を抱えている。要介護の前段階であるフレイルは、男女関係なく生じるが、女性がなりやすく、要介護に陥りやすい。実際、フレイルの主な原因であるサルコペニア、骨粗鬆症、認知症はいずれも女性に多いが、性差が生じる要因については未解明である。したがって、フレイルにおいて、性差に基づく「ジェンダード・ヘルスサイエンス」の検討が求められている。
最近の申請者らの検討(832 名の地域在住高齢者対象:平均年齢 75.8 歳、女性 48.0%)では、生きがい(喜びや楽しみ)がある高齢女性に比べて、生きがいがない(生きがい喪失)高齢
女性が5年間でフレイルになるリスクが約4倍高いことが示された。一方で、興味深いことに高齢男性においては、生きがいとフレイル新規発症と有意な関連は認めず、性差がある。特に女性の生きがい喪失はフレイルの評価項目の一つである疲労感と強い相関を認めた。しかし、健診の質問項目や後期高齢者の質問票において、疲労感に関連する項目はなく、フレイル評価や早期検知に繋がってない現状があり、女性特有の生きがい喪失による疲労感を検知できる質問項目や客観指標の開発が求められている。

研究目的

本研究は、高齢女性特有の疲労感に着目して、疲労感の中核要因や関連因子を明らかにしたうえで、定量評価指標および生体情報から検出する技術開発を行い、フレイルを早期検知することを第一目的とする。また、生きがい向上による疲労感の解消や軽減をフレイル進行の対策案として打ち出し、特に社会活動など社会とのつながりから生まれる生きがいを提案(フィートバック)
し、汎用性ある活動の実践・持続につなぐ仕組みを確立することを最大の目的とする。

実施予定期間

2024 年1月~ 2026 年 12 月 31 日

パートナー企業・団体

セコム財団