今後増加が見込まれる加齢により心身機能が低下した高齢者、身寄りのない 高齢者の資産・住まいの管理に関する社会的な介入の仕組みの研究、調査

プロジェクト概要
プロジェクト代表者
研究概要
1)高齢化・単身世帯の増加、認知症患者の増加
・75歳以上の人口割合は 14.7% から、 2065 年には 25.5 %に増加する見込み
・65歳以上の単身世帯は、男性: 15.0 %から 2040 年に 20.8%、女性 22.1 %から 24.5 %に増加見込み
・加齢に伴う心身機能の低下の代表的状態として、認知症がある。
認知症患者数は 2040 年にかけてほぼ同程度(約 470 万人)から2倍(約 800 ~ 1000 万人)と推計されている。
2)共生社会創出の気風
2024年 1 月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行された 。認知症の方が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症の方を含めた国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(=共生社会)の実現を推進することとされている。
ここでは、日常生活の動線の中では常に、
①当事者本人の尊厳が守られること
②本人の意思決定ができる限り尊重されること
の 2 点が要点 となる。
3)財産管理にまつわる課題への着目の必要性
長寿化に伴う支援を必要とする期間の延伸、親族等による支援を期待できない単身世帯等の増加、子ども世代の高齢化などから、高齢者の生活支援資源の減少が課題として着目され、政策
課題として解消に向けた動きが加速している。その一方で、高齢者の財産管理にまつわる高齢者の潜在的ニーズ、望ましい意思決定支援のあり方、それを実現するアドバイザーやサービサーの在り方( ALP )に関する先行研究は数少ない。そのため、東大IOG 「金融と法」共同研究会では、金融機関を中心とした民間企業と老年医学・高齢者法等を中心としたアカデミアの連携により、 ALP の普及に向けた具体的な対策を目指すこととする。
研究目的
アドバンス・ライフ・プランニング (ALP) を浸透させることにより、高齢者の健康、主観的幸福感を向上させ、健康人生の延伸、自立 / 自律期間の延伸と、人生愉しみ ( 娯楽消費活動等 ) の充実を目指す。アドバンス・ライフ・プランニング(ALP)は、将来の人生を、本人が能動的に設計していくことを目指し、本人と関係者が事前に / 継続的に、繰り返し行っていく、資産・住まい管理および介護に向けた備えと対応にかかる意思決定プロセスである。この目指す社会を実現するため、ALPアドバイザー資格制度と、資格認定 / 資格者育成団体を創成し、
①人生 100 年時代のジャーニーマップと、事前の備えが有効であることの周知
②有効な事前の備えのためのツール、選択肢の提供
③本人意思の尊重、家族コミュニケーション機会の増進
④アドバイスの結果連携することとなるALP関連のサービス事業
(介護保険外産業)の拡充、育成を推進する。