研究

高齢者の大規模健康調査

健康長寿の実現には、日常生活に大きな支障をきたしていない段階からのフレイル予防が重要である。また、フレイルの状態であれば、然るべき対策により、可逆的な改善も見込める。よって、我々は、高齢者のフレイル対策に資する科学的根拠(エビデンス)を明らかにすべく、主に地域在住高齢者を対象とした大規模健康研究を仕掛けてきた。千葉県柏市におけるコホート研究(通称、柏スタディ)はその最たる研究であり、数百に昇る調査項目を計測、経時的にその変化を追うことで様々な新知見を発進してきた。さらに、高齢者住民全員を対象とした悉皆調査データも活用することで、環境要因も含めた多角的な提案も行っている。これら基盤研究を通じて産み出されたエビデンスを実社会へと橋渡ししていくのが我々の使命である。

フレイル啓発に関わる地域特性の把握と フレイル予防活動につながる意識・行動変容のモデル化

従来の観察研究の多くは健康意識の高い限られた高齢者のデータが多くを占めるなど、高齢者の代表性に課題が付きまとう。本研究では、協力関係にある自治体が実施した介護予防悉皆調査データを分析し、地域別の特徴(地域診断にも応用)やその地域特性に即した持続可能な健康増進活動への実現を目指す。具体的には、地域ごとのフレイルの実態と社会的・物理的環境要因との関連を明確にしたうえで、現在の地域資源を活かし、地域特性に即した持続可能な健康増進活動・介護予防事業のあり方について検討することを目的とする。

大規模フレイル予防研究「栄養とからだの健康増進調査(柏スタディ)」

フレイル予防に資する介入の探索
地域在住高齢者のフレイル予防に資するエビデンス構築を目的に、千葉県柏市在住高齢者(自立/要支援 2,044 名を対象とした前むきコホート研究(柏スタディ)を経年的に実施している。
柏スタディでは、高齢者の健康状態、身体の構造と機能、活動、社会参加、心理及び認知機能等の精緻なデータ収集及び解析を行い、フレイルやフレイルの最大の原因であるサルコペニアの早期介入ポイントの探索および新たな簡易評価法についての研究成果を国内外に発信している。